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パニック障害になった家族を間近で見た体験談③在宅中編

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妹がパニック障害になって、私たち家族がどう接しどう対応したかについてお話してきました。今回は3回目、在宅中についてのお話です。

家にいても誰かいないと怖いのです。主にその怖さを解消することに専念したといえます。

 

ひとりではいられない

パニック障害と診断されてから、さらに家にひとりでいることができなくなりました。

ひとりになると急に不安が押し寄せてきて、焦燥感に襲われるようです。

そのため、誰か一緒にいないといけません。義弟は仕事にでかけます。甥っ子は生まれたばかりで小さいのでその子の面倒も見なければなりません。

私は融通の利く仕事をしていたので、母が仕事の日は私、私が仕事の日は母が行くというスタイルで付き添う日々が続きました。朝から行き夜義弟が帰ってきて交代、私は帰宅します。なるべく義弟の負担を減らすように、妹と甥っ子のお風呂も済ませて夜ご飯も作って帰ることがよくありました。

私と母の疲労は溜まり、愚痴もでるようになります。ただ、その愚痴は妹には絶対聞かせてはいけないと思い、ここだけは必ず気を付けていたのです。

支える家族も追い詰められるような感覚がありました。外に出られない時期は出口の見えない迷路のように感じます。

 

トイレやお風呂も

家でもひとりではいられないことは、トイレやお風呂も同じです。

扉を閉めてしまうことで焦りや不安がでてしまいます。扉を開けたまま、話をしながらでないと不安で仕方ないようでした。

甥っ子が赤ちゃんのときは沐浴だったのでよかったのですが、どんどん大きくなってくるとお風呂にいれなければなりません。妹と一緒に入れてしまい、上がってからの世話は母か私。妹も湯船につかることはほぼできないので烏の行水です。

入っている時点で震えてきてしまいます。体が温まると発作が出るからです。

そんな妹の姿を見ているのはとても辛く、妹も自分を責めていました。

全く関係ない明るい話でつないでいましたが、ふとした瞬間に悲しい気持ちがでてしまいそうになるのを私は必死で抑えていました。

発作や不安から意識を逸らしておけば、トイレもお風呂もやり過ごすことはできます。

支えている家族が、どれだけ本人の意識を逸らして考えないようにさせるかが大切です。

 

寝たきり状態に

ひどいときには、寝たきり状態になりました。

めまいや動悸がひどいので、横になっている方が楽なのです。

妹の場合は、めまいがひどく起き上がっていられないことが最大の悩みとなりました。

頭がグラグラするような感覚、このままどうにかなってしまうのではないかという怖さ。

その感覚は私や母にはわかりませんが、寝たきりの妹を見て辛く感じていました。

本人も自分の体を自由に動かすことができず辛かったと思いますが、身の回りの世話をする家族にとってもとても大変なことでした。

寝たきりがいつまで続くのかと思うこともありましたが、焦ってはいけないと感じました。

私たち家族が焦っては、妹がさらに焦ってしまい自分を責めるでしょう。

それだけは避けたかったので、妹が自分を責めれば止めて肯定することに専念したのです。

どんな妹も受け入れると決め支えることに意識を向けました。

安心しているときは顔色がよかったので、寝たきり状態から脱することができたのです。

 

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食事にも影響

食事もだいぶ影響がありました。まず食べることがあまりできません。

パニック障害になる前の妹は、食べることが大好きで私が残したものも食べてくれるくらいでした。それが、発症してからはほとんど食べることができず甘いものまでも残してしまうような状態です。そんな妹をあまり見たことがなかったので、悲しさと寂しさが入り混じる感覚でした。

家族としては栄養面がとても心配。ただ、薬の副作用なのかみるみる痩せていくことはありませんでした。それが良くも悪くも私たち家族には救いだったのです。

食事は体を作るうえでとても大切なものですよね。でも、食べるもので体に出る影響が違います。

パニック障害になってからは、カフェインがよくないと聞いてコーヒーや紅茶も飲まなくなりました。カフェインが入っていると心臓がバクバクしてしまうのだそう。

今ではそこまで気にせず少しずつ飲めるようになってきましたが、当時はとてもカフェインに対する反応は大きく、気を付けていたので製品の成分表はチェックする癖は今でもついています。 

 

 

不安が出たらすぐ解消させよう

不安がつきものであるパニック障害。何でもかんでも不安になってしまうことが多々ありました。家から出られない状態であるにも関わらず不安になるようです。

動けないので家にいて、やることもないので思考ばかり発展していきます。さまざまなことを考えられる状態だからこそだと思いますが、家族はその不安を解消させる必要があります。

何か不安が出たらその都度大丈夫だと伝えることが最も重要です。

聞いている家族は、また言っているなと思ってしまいがちですが、本人は本当に怖くて不安を抱えています。その不安をひとつずつ解消する作業をしていくしかありません。

予測して不安になることもあるので、「今を見て!何も起きていないよ」と分かってもらう必要があります。

そしてその際抱きしめることも大事。肯定して受け入れていくことを続けていれば安心して落ち着いてきます。伝えるのと同時に自分にも言っているようにしてみるといいでしょう。

 

 

家族も苦しい時期です。投げ出したくなることもあります。いつまでやるのかという期間を考えてしまうと途方に暮れることもあるので、今、今を見ていればいつかは落ち着いてきます。

今のパニック障害である家族をしっかりと受け止めてあげましょう。

 

次回は外出できるようになってからの状況についてお話します。